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敗戦70年「9」死の行軍。


長い貨車輸送のあと、田舎の駅に降ろされた、一部はトラックが使用されたが、大部分は重い荷物を背負い、初めて経験する極寒の地で、馴れない行軍だった。雪は絶え間無く振り、頭から真っ白になり、背にしたリュックが肩に食い込み、飢えと寒さで落伍しかける者が出てくる。護送兵が「絶対に歩け、歩かないと凍死するぞ」と怒鳴る。通訳伝令を聞きながら、必死になってただヨタヨタと歩き続けたが、時と共に猛烈な吹雪に変わった。落伍すれば「凍死」の思いが各人の頭に浸みわたり、皆必死の様相で、ただ気力のみでヨタヨタと歩き続けた。今思い出してもゾーとする光景で、親兄弟には決して見せたくない哀れな姿だった。この時一人のロシア人が馬を飛ばしてきた「今にソリが来る、どんな事があっても歩き続けろ」と怒鳴った。この救援ソリが何台きたか覚えていない、「弱った者はソリに乗れ、荷物のおもい者はソリに乗せろ」と言う。弱りきった兵はソリにグッタリと身を任せた。後で知った事だがソリに乗った者はほとんど凍傷になり、両足切断の悲運を背負うた兵もいたようである。ソリから遅れこと数時間、疲れ切って収容所に辿り着いた。ホーと気が緩んだのであろう、到着と同時に3名の死者が出た。1分でも早く食べて休みたい! ようやくパンが配給になったが、そのパンを見て驚いた。日本で売られているタバコの半分しかない。一斤のパンとはよく聞くが、これはひとカケラのパンでしかない。誰も唖然として言葉も出なかったが、何の文句も言いようがなく、ただ飲み込んで、大急ぎでリュックより毛布を出して寝込んでしまった。そして薪もなく食もない我々を待っていたのは苛酷な金山労働であった。高木さん。
敗戦70年を初めて読む閲覧者は①から閲覧してください。拍手「5」で継続。棋楽
2015-09-08(Tue)
 

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